そんげんってなあに

 「人間が生きるのに最低限必要なものは何か」という問いがあったとして、全ての人に共通する答えは「水と食料」あたりだろう。
でも、ただ命をつなぐというだけじゃなくて、「その人なりの尊厳を保ちながら生きるのに最低限必要なものは」と問いを変えると、答えは人によって差が出ると思う。

 たとえばリュックひとつで外国を旅してるひげぼうぼうのカメラマンと、月に一度のエステは欠かさないというきれいなおねえさんとでは、
「必要なもの」の数や種類はぜんぜん違うんだろう。

 命にまさるものはないとは言うけれど、命があってはじめていろんなものが手に入るわけで、いろんなものを手に入れられるからこそ命が大事に思われるわけで、
その関係は常にくるくる回っているから、命だけさえあればいいというわけでは決してないのだ。

 そういうところ、見失いたくないなと思う。